運命の人に出会うまでの……

2016.01.12

幸福を願う

「お祈りは効果がある」と言う人がいる。
お祈りに関する感動的な体験談を読むと、それが信じられるような気がしてくる。

眠る前に、ふと思い出して、お祈りをしてみる。
自分や家族、親しい人、職場で一緒に働く人の幸福を願ってみる。
一人一人、顔を思い浮かべて、「明日も幸せに過ごせますように」とお祈りする。
ついでに世界中の人の幸福も願いながら、連鎖的に、まだ見ぬ恋人の姿を心に思い描く。

心身共に愛し合える人とは、これから出会う。
その人が、今どこにいて、何をしているかは想像も付かない。
それでも、その人が幸せでいてくれるといい。
健康で、何の問題もなく、人生を楽しんでいてほしい。
なるべく笑顔で過ごしていますように。

まだ見ぬ人の幸せを願ううちに、あなたは心が幸せな気持ちで一杯になってくるのを感じる。
今感じているこの幸福な気分が、まだ見ぬ人にも伝わるように、お祈りする。

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2016.01.11

趣味の合う人

あなたはたまに夜道をウォーキングする。
星空や月を眺め、近所の夜景を楽しむ。
住宅街やバス通りを歩くので、さほど怖くはないが、必ず周囲の人影に気を付けている。

時折、ウォーキング中のカップルに遭遇する。
彼らは寄り添い、無言で黙々と歩いている。

好意を持つ人の家へお邪魔した時、玄関にウォーキング用のシューズを見つける。
偶然にも、歩くルートが少し重なることがわかる。

「次の週末、一緒にどうですか?」

好きな人からの偶然の誘い。
断る理由はない。

その日を境に、あなたは心が自然と浮き立ってくるのを感じる。
特別な衣類を買い求めるつもりはない。
それでも、少しでも見栄えが良くなるような、清潔なものを選別する。
髪は少しだけカットする。

「もし話せたら、何を話そう?」

そんなことを考えながら夜道を歩いていて、見覚えのある人が信号を待っているのに気付く。

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2016.01.10

彼女の匂い

あなたは湯上がり直後の彼女の匂いを嗅ぐのが好きだ。
それを告白すると変態だと言われそうなので、彼女には内緒にしている。

シャワーを浴びた彼女を後ろから抱き締め、首筋に鼻先を押しつけて匂いを嗅ぐ。
髪に残るシャンプーの香り。
石鹸混じりの肌の匂い。
汗とは異なる独特の匂いがほんのりと立ち上り、男としての本能をくすぐる。

まだ湿り気の残る身体を抱いたまま、白いシーツにダイブ。
手と唇を這わせ、肌に肌を重ねて、愛を交わす。
そのうち彼女の身体は汗ばみ、湯上がりとは違う匂いがかすかに感じられるようになる。
そんな小さな変化を知る、味わうのも、興味深い。

たまたま乗り合わせた電車が少し混雑していて、どうしても彼女と密着せざるを得なくなると、あなたは少し嬉しくなる。
ほんの一駅か二駅でも、彼女の匂いを嗅ぎ、自分の記憶に残る「特別な匂い」との違いを比べる。
それを知っているのは自分だけだと誇りに思う。

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2016.01.09

濡れてる理由

あなたはキスを味わい、それからようやく眼下に広がる夜景を楽しむ。
雨上がりのせいか、普段よりもキラキラと輝いて見える。
だがそれよりも、薄明かりの中に浮かぶ彼女の顔を見るほうが、何倍も嬉しい。

太ももに手を這わせ、その付け根に指を忍ばせる。
彼女は拒まない。
狭間を覆う薄布も抵抗しない。
行儀良く閉じていた太ももが少し緩んで、あなたの行為を無言で促す。
すぐにざらついた若草と、柔らかな陰部の感触。

「濡れてるね」
「夕方の雨のせい?」

あなたはクスッと笑って、指をもっと進ませる。
秘孔の周囲に溢れた液を指先で捉えて、敏感な肉芽へと導く。

「ここ、いつから濡れてたの?」

緩急を付けて愛撫すると、彼女はたちまち喘ぎ出す。
息をあえがせ、切なそうな声を出す。

「雨のせいじゃ、ないよね」

彼女はあなたの首に両手を回して抱きついてくる。

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2016.01.08

隣の寝顔

朝目覚めると、彼女がいる。
無防備な姿で、隣に寝ている。
寝顔を横目で見ながら、指を這わせる。
熟睡している彼女を、起こさないよう注意しつつ、露出した肌に触れる。

どこにどう触れると、彼女が声を上げるか、どんな風に反応するかを、あなたは知っている。
でも今は記憶に残る彼女の姿を思い出すだけ。
温かな肌にそっと触れるだけで、何もしない。
規則正しい寝息を聞き、投げ出された手に自分のそれを重ねて、ただひたすらにじっとしている。

夜とは違う、朝の雑音が窓の外から響いてくる。
人の声。
車の音。
犬の吠え声。
野鳥の鳴き声も聞こえるかもしれない。
そんな雑音が、彼女の眠りを破らないかと、少しばかりハラハラしながら、あなたはじっと見守り続ける。

毎朝目覚めて、彼女が隣にいることを、とても幸せに思う。
たまにキッチンから聞こえてくる小さな物音で目が覚めることを、すこぶる愉快で幸福な経験だと嬉しく思う。

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2016.01.07

手と唇と

あなたは眠りに落ちる前に、まだ見ぬ愛しい人の手を握っている所を想像する。
温かな手を握り、自分がどれだけ会いたいと思っているかを、自分の言葉で説明する。

愛しい人とは、一緒にいても、違和感が全くない。
とても自然で安らかな気分になる。

一人でいても、それなりに幸せ。
だけど、二人になれば、幸福が二倍になる。
苦しみや悲しみは逆に半減するかもしれない。
お互いの趣味は、きっと一緒に楽しんだり、理解しあえたりするだろう。

そんなことを心の中で説明し、相手の手に唇で触れる。
滑らかな皮膚に何度も軽くキスをする。
愛しい人の身体は、どこを見ても、好感が持てる。
指も、爪も、小さなシワも、全てがとても愛おしい。
その手にそっと触れながら、唇に愛をこめてキスをする。

「早く会いたい。愛し合いたい」

あなたは、まだ見ぬ人の手を握り、キスする所を想像しながら眠りにつく。

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2016.01.06

自己紹介

寝る前に、あなたについて、基本的なことをいくつか考えてみる。
それは全て、将来、愛しい人に知ってもらいたいこと。
とは言え、別に全部覚えておいて欲しいわけではない。
今後一緒に暮らすのだから、ある程度のことは話しておきたい。理解されたい。

たとえば飲食物の好み。特に食べられない物や苦手な物。
あるいはどんな趣味があって、どれくらい時間やお金を使っているか。
よく聞く音楽。スポーツなど、身体を動かすことは好きかどうか。
眠っている間に、歯ぎしりやいびきの癖があるか。
家族や友人との付き合い方。将来に望むこと。

一つずつ数え上げればきりがない。
だから、大事なことから少しずつ、順番に。

あなたについて紹介する時、相手はどんな風に聞いてくれるだろう。
もちろん、あなたのことを話すと同時に、相手のことも聞いてみる。
何かの好みが同じだと嬉しい。
違っていても、きっと嬉しい。

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2016.01.05

同じベッドで

昨日までは、一人だった。
今夜からは、ベッドの端に身体を寄せる。
空いた空間に、誰よりも愛しい人が横たわる。

昨日までは、静かな部屋で、自分のことだけ考えていた。
今夜からは、隣にいる愛しい人に思いを馳せる。

静かな部屋に、寝息が聞こえる。
今はまだ、側にいるだけ。
それ以上のことはしない。

そっと肌に触れてみる。
手を近づけただけで、温かい。
気が向いたら、匂いを嗅いでみる。
本当は、もっと触れたり、抱き締めたり、それ以上のことがしたい。
でも今は、ただ側にいるだけ。
規則正しい寝息を聞きながら、何となく眠れずにいる。

快適な室温。静かな寝室。

あなたは寝たふりを続けつつ、愛しい人と同じ空間にいることを感謝する。
特別なことがなければ、今夜も明日も、二人は一緒に睡眠を楽しむ。
いつまでも、ずっと。

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2016.01.04

初めての再会

何千、何万、何億といる人々の中で、あなたは相手を探している。
相手もまた、あなたと同じか、それ以上熱心にあなたを探している。
やがて二人が出会った時、目の前にいるのは、自分が探していた人だと、お互いに気付く。
初対面のはずなのに、どことなく懐かしいような気分。
あるいは、今まで何度か会っていたのに、実はもっと昔からの知り合いだったと気付いたような気分。

それは、頭で考えるのではなく、心で感じること。
相手の目の中、心の中に、あなたがいる。
あなたの目の中、心の中に、相手がいる。

出会ったばかりの新鮮な感覚と同時に、既に相手を知っているという感覚を持つ。
それは少し奇妙で、戸惑いを感じるかもしれないけれど、まるでずっと無くしていたもの、失ったとばかり思っていたものを、取り戻したような気分。
だから抱き締めずにいられない。
たとえ初対面でも、再び巡り会えたことを、感謝せずにいられない。

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2016.01.03

恋人つなぎ

指に指を絡めて手を握った時の感触を、あなたは知っている。
その肌の滑らかさ。温かなぬくもり。
少し力を入れると、ギュッと握り返してくる。

言葉を交わさなくとも、握った手の密着した部分から相手の気持ちが伝わってくるような気がする。
嬉しさも、楽しさも、どんな気持ちも、伝染してくる。
おかげでポジティブな気分は二倍になり、ネガティブな気分は半減する。
それが二人でいることの幸福な利点。

さりげなく手を離してしまうと、温かな手が、あなたの手を探しにやってくる。
すぐに見つけて、また指に指を絡めてくる。
そうすることが自然なことのように。
まるでずっと前からそうしていたかのように。

今までは、恋人つなぎで歩くカップルを見ると、何とも言えない気分になった。
でも実際にしてみると、照れくさくて恥ずかしい。
人目が少し気になるけれど、こうしていられることが嬉しくて幸福でたまらない。

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